企業利益から課税標準を導き出すには、その計算過程で様々な調整が行われます。これは、企業の財政状態と営業成績を正確に捉えようとする企業会計と、課税の公平さや政策などが影響する法人税法それぞれの目的が異なるからです。このため、課税標準額は企業会計によって算出された当期純利益を基に、各調整事項を加えて誘導的に算出するようにしています。
次にその調整の種類等を紹介します。
税務調整 | 決算調整 | 損金経理を要件とするもの |
損金経理または利益処分を要件とするもの | ||
利益処分による経理の場合は、損金算入が認められないもの | ||
一定の経理をすることを要件として、選択計算が認められるもの | ||
申告調整 | 任意に申告調整するもの | |
必ず申告調整するもの |
要件 | 項目(税法) |
損金経理を要件とするもの | 減価償却資産の償却費の損金算入(法31) |
繰延資産の償却費の損金算入(法32) | |
少額な減価償却資産及び繰延資産の損金算入(令133,134) | |
特別な事由がある場合の資産の評価損の損金算入(法33(2)) | |
使用人兼務役員の使用人分賞与の損金算入(法35(2)) | |
役員退職給与の損金算入(法36) | |
各種圧縮記帳の圧縮額の損金算入(法42,44〜47,49〜51,措法64,65,65の2) | |
各種引当金勘定の繰入額の損金算入(廃止、縮小の方向) | |
貸金等の貸倒の損金算入(基通9-6-1〜3) | |
返品債権特別勘定の繰入額の損金算入(基通9-6-4〜7) | |
利益または剰余金の処分を要件とするもの | 国庫補助金等、保険差益等、収用等および特定資産の買換等により取得した固定資産等の圧縮額の損金算入(法42ほか) |
圧縮記帳にかかる特別勘定への繰入額の損金算入(法42ほか) | |
準備金方式によった場合の特別償却準備金の積立額の損金算入(措法52の3) | |
準備金方式によった場合の各種準備金の積立額の損金算入(措法54ほか) | |
利益または剰余金の処分による経理の場合は、損金算入が認められないもの | 使用人賞与の損金算入(法35(3)) |
寄付金の損金算入(法37(1)) | |
一定の経理をすることが要件とされているもの | 割賦基準(法62) |
延払基準(法63) | |
工事進行基準(法64) |
申告調整 | 絶対的申告調整 | 交際費等の損金不算入など |
任意的申告調整 | 受取配当等の益金不算入など |
区分 | 項目(税法) | 調整区分 |
益金算入 |
| 加算 |
益金不算入 |
| 減算 |
損金算入 |
| 減算 |
損金不算入 |
| 加算 |
区分 | 項目(税法) | 調整 |
益金不算入 |
| |
損金算入 |
| 減算 |
税額控除 |
| 税額控除 |