企業活動の結果である販売収益をどの時点で計上するか、とても重要です。法人税法では、収益計上時期について、明らかな規定は示されていません(法人税法22(2)、(3))。法人税法第22条4項では、「その事業年度の収益の額、損金の額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」と書かれています。ここで言う「一般に公正妥当」とはどのようなことでしょう。会計慣行では、「その収益の計上時期」は現実主義によっています。上記の条文から、法人税法でもこの「現実主義」を原則的基準としているように思われます。
では、ここで現実主義の判定基準がしめされた判例(東京高等裁判所昭和48年(行コ)5号)を表にまとめてみましょう。
収益帰属年度の原則 | 棚卸資産 | その引渡しがあった日の属する事業年度 | |
請負 | 物の引渡しを要する請負契約 | その目的物の全部を完成して相手方に引渡した日 | |
物の引渡しを要しない請負契約 | その約した役務の全部を完了した日 | ||
固定資産の譲渡 | その引渡しがあった日の属する事業年度 | ||
有価証券の譲渡 | その引渡しがあった日の属する事業年度 | ||
貸付金利子等の利子 | 計算期間の経過に応じて計上 | ||
債権買取 | 債権にかかわる支払い期日が到来するつど、支払期日が到来した債権金額に応じて計上 | ||
損害賠償金等 | その支払うべきことが確定した日の属する事業年度 |