建築請負


請負収益を計上すべき事業年度


法人税法では、物の引渡しを要する請負契約ではその目的物の全部を完成して相手方に引渡した日の属する事業年度において、物の引渡しを要しない請負契約ではその訳した役務の全部を完了した日の属する事業年度において収益を計上することとしています(法人税法基本通達2-1-2)。

この引渡しの日は、完了届等の形式により判断するのではなく、その建築工事等の種類、性質、契約の内容等に応じて実質的に判断します。引渡しが完了した後に一部補修もしくは仮設物等の撤去を要すること、または契約上保証期間があるようなときは、その補修、仮設物の撤去等が使用上の絶対必要条件でないかぎり、引渡しの日の判断に影響しない。

また、引渡しが終わった場合には、たとえ工事収入または工事原価が確定していなくても、期末の現況で適正に見積もり計算します(法人税法基本通達2-3-4)。なお、工事代金につき、資材の値上がり等のため値増条項が契約上定まっている場合には、その値増金は引渡事業年度の収益となります(法人税法基本通達2-3-5)。ただし、予定工期の短縮等による値増金は、その収益の確定した事業年度の収益となります(法人税法基本通達2-3-5)。


工事原価の計算


請負収入に対応する原価には、その請負の目的となった物の完成または役務の提供の履行のために要した材料費、労務費および経費の合計額のほか、その受注または引渡しをするために直接要したすべての費用が含まれます。


転送した仮説材料の控除


建設工事用の足場、型枠、山留資材、ロープ、シート、危険防止用金網等のような仮説材料で、その取得価額が未完成工事支出金勘定に計上されているものを、その使用後他に転送した場合は、次のいずれかの方法によって計算された金額を、転送額として未完成工事支出金から控除する(法人税法基本通達2-3-1)。

  1. 仮説材料の取得価額から損耗等による減価の見積額を控除した金額
  2. 減価見積りが困難な場合は、工事完成時または転送時の仮説材料の時価
  3. 仮説材料の再取得価額に適正に見積もった残存率を乗じた金額



工事事務所費の控除


建設工事等に使用する木造の現場事務所、労務者宿舎、倉庫等の転用、譲渡等をした場合には、次の金額を未完成工事支出金勘定から控除するか、または雑収入等とする(法人税法基本通達2-3-2)。

  1. 工事引渡以前に譲渡または転用した場合・・・譲渡価額または転用時の時価
  2. 工事引渡時に現存する場合・・・・・・・・・・・・・工事引渡日の時価(取り壊す仮設物があるときは、発生資材としての評価額)


なお、金属造りの移動性仮説建物については、その償却費を工事原価に算入するのであれが、その取得価額は、建物の校正部分のうち移設に伴い反覆して組み立てて使用されるものの取得費用だけによってもよい。その他の費用(建物の組立費、撤去費および他に転用できない電気配線等の付属設備の費用)は、その建物を使う工事の工事原価に算入する(法人税法基本通達2-3-3)。


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