無償または低廉譲渡


各事業年度の益金の額に算入する金額は、なにも有償による資産の譲渡ばかりではありません。無償による資産の譲渡や役務の提供も含まれます(法人税法22(2))。さらにその取引の態様に応じて、給与、贈与等があったものとされます。また、実質的に贈与をしたと認められる場合には、所得金額の計算上寄付金とされます。

計算例
種別譲渡価額時価帳簿価額
土地500,000850,000500,000
建物300,000500,000300,000

それぞれ譲渡価額に基づき経理処理をし、時価との差額は申告調整する。
購入した建物の償却率は、10%とする。また、決算時に償却額を損金経理している。


譲渡した会社の申告調整
加算項目金額
土地譲渡益
建物譲渡益
250,000
200,000
減算項目金額
寄付金算入額認容450,000

注意:通常の寄付金の損金算入限度超過額の計算は、別途計算する。

上記の申告調整では、次の経理処理が行われたものとみなされる。
借方科目金額貸方科目金額
寄付金450,000 土地譲渡益
建物譲渡益
250,000
200,000



購入した会社の申告調整

加算項目金額
土地受贈益
建物受贈益
250,000
200,000
減算項目金額
建物減価償却認容20,000


申告調整受け入れ仕訳
借方科目金額貸方科目金額
土地
建物
250,000
180,000
前期損益修正益430,000




無償または低額による譲り受け


法人が、無償で資産を譲り受けたときは、その時価をもって取得価額となります(法人税法施行令54)。上記の計算例で建物の減価償却額が「認容」されていますが、これは、減価償却資産について、帳簿価額にその贈与相当額が含まれていないときは、その金額の減価償却をしたものとして計算する(基本通達7-5-1)。つまり、建物の減価償却は、法人が損金経理した30,000円を含めて次のような経理処理をしたものとみなされます。

借方科目金額貸方科目金額
建物500,000 現金預金
受贈益
300,000
200,000
減価償却費230,000建物230,000



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