通常は、いったん支払が確定した賞与等は、受給者である個人の給与所得に含まれます。もしも、その後受給者が受取を辞退したときは、債務免除益として法人の益金となります。この場合でも受給者の給与所得には変化はありません。したがって、所得税の源泉徴収が行われます。
しかし、損金算入が認められない未払賞与等を取締役会等の決議に基づき、受給者の同意を得てその全部または大部分を支払わないこととしたもので、次の二つの条件に適うときは、その支払わないこととした金額は益金の額に算入しない(基本通達4-2-3)。
なお、所得税の源泉徴収については、その支給の確定した日から1年を経過した日または支払わないことが確定した日に徴収される(所得税法183)。ただし、その債務免除が支払者の債務超過の状態が相当期間継続して、その支払ができないと認められるときは、所得税を源泉徴収しなくてもよい(所得税基本通達181〜223共ー2)。さらに、役員が次の理由により未払賞与等の受領を辞退したときは、その支払わないとされた部分に対する所得税の源泉徴収はしなくて差し支えない(所得税基本通達181〜223共ー3)。
債務免除額の計算例
役員に対する未払賞与等・・・10,000,000円
源泉徴収税・・・2,000,000円
未払賞与等の全額を支払わないこととした。
益金不算入となる金額 = 10,000,000 − 2,000,000
8,000,000円となります。
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