低価法


低価法は、原価法のどれか一つの方法による評価額と期末時価(再調達価額)とのどちらか低いほうを期末棚卸資産の評価額とする方法です(法人税法施行令28(1)ニ)。会計上は、保守主義から生まれたと考えられている説があります。
低価法では、種類等の異なるごと、原価計算を売価還元法によっているときは、種類等または通常の差益の異なるごとに判定します。次の場合の期末棚卸資産の評価額は、次の通りです。

項目原価時価低価(期末棚卸額)
商品A40,00041,00040,000
商品B35,00033,00033,000
商品C60,00059,00059,000
商品D55,00055,50055,000
評価額
187,000
合計190,000188,500


なお、低価の事実を種類等によらないで、業種別、かつ、(1)商品・製品、(2)半製品、(3)仕掛品、(4)主要材料、(5)補助材料その他の棚卸資産の5区分に分けて判定することもできます。しかし、切放し低価法の場合は、一括判定はできません(基本通達5-2-9)。


翌期の評価

  1. 洗替方式
    原価より時価が低いため時価で評価した場合でも、翌期の評価額の計算の基礎となる原価は、その繰越価額でなく実際の原価を基礎とします。このときの1個当たりの原価は、次の計算式で求められます。

    N:1個当たりの原価
    X:翌期期首繰越原価
    Y:翌期取得価額
    A:翌期期首繰越数量
    B:翌期取得数量

    N = (X + Y) ÷ (A + B)

  2. 切放し方式
    切放し方式とは、当期の低価法による評価額をもって、翌期以降の棚卸資産の計算の基礎となる取得価額として繰越す方法です。つまり、洗替方式とちがい、1個当たりの原価の評価換えは行わず、前期に低価法により評価された棚卸額と当期の時価を比較して評価する方法です。切放し低価法による1個当たりの評価額は、次の計算式で求めることができます。

    N:1個当たりの原価
    X:翌期繰越評価額
    Y:翌期取得価額
    A:翌期期首繰越数量
    B:翌期取得数量

    N = (X + Y) ÷ (A + B)

    切放し低価法の適用は、確定決算の基礎とした棚卸資産の受払帳簿に、低価法による評価額を記載している場合に限られます(法人税法施行令28(2))。なお、後入先出法またはこれに準ずる方法を基礎とする低価法については、切放し低価法は適用できません(法人税法施行令28(2))。



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