有価証券の取得価額
取得価額
| 取得形態 | 取得価額 |
一 | 払込込みにより取得した有価証券(ただし二を除く) | その払い込んだ金額 |
二 | 有利な発行価額で新株その他これに準ずるものが発行された場合における、その発行にかかる払込により取得した有価証券(株主として取得したものを除く) | その払込時期日の時価 |
三 | 購入した有価証券 | 購入代価 |
四 | 合併または出資により受け入れた有価証券 | その有価証券の受入価額(その受入のために要した費用の額を加算した金額とし、その受入価額または加算した金額が受入時におけるその有価証券の取得価額の取得のためにい通常要する価額を超える場合には、その価額に相当する金額) |
五 | 一から四までの方法以外の方法(贈与、交換、債務弁済等)により取得した有価証券) | その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額 |
評価換えをした有価証券の取得価額
有価証券について評価換えをして、その評価換えを損金または益金の額に算入した場合には、税務上認められたその評価換後の帳簿価額をもって、その後の評価額計算上の取得価額とします。これは、低価法ではなく、常に切放し計算をすることです。
一.評価益
評価換えをした有価証券の取得価額 | + | 益金の額に算入した評価益 | = | 税務上の評価換え後の帳簿価額 |
二.評価損
評価換えをした有価証券の取得価額 | − | 損金の額に算入した評価益 | = | 税務上の評価換え後の帳簿価額 |
身代わり株式等の取得価額
法人が所有する株式、出資または受益証券の発行法人において、増資、減資、解散、合併、積立金の資本組入れ等の事実があり、旧株について新株(これを身代わり株式と呼んでいます)を取得した場合には、その旧株および新株にかかる評価額の計算上、「取得すべき価額の計算方法」は法律で別に定められています。
一.取り替え計算の原則
- 旧株の帳簿価額を引継ぎ、含み益の課税を延期する
- 払込金額および株式に付着するみなし配当の金額を加算し、減資払戻金の金額を減算する
- 新株・旧株の取得価額を平均化する
二.分割の場合の取得価額・・・旧株の従前の帳簿価額が、分割された新株に引き継がれる
新株1株当りの取得価額 | = | 旧株1株の従前の帳簿価額 | ÷ | 旧株1株について取得した新株の数 |
三.合併の場合の取得価額・・・旧株の従前の帳簿価額が、合併された新株に引き継がれる
新株1株当りの取得価額 | = | 旧株1株の従前の帳簿価額 | × | 新株1株につき、合併により消滅した旧株の数 |
四.増資により取得した場合の取得価額・・・旧株の従前の帳簿価額に新株の払込金額を加算した金額を、旧・新株の株式数により平均化させる。なお、準備金の資本組入れに伴う抱合せ増資があった場合には、その無償分のうち利益積立金の資本組入れによるみなし配当とされる金額は、新株の払込金額に加算します。
新・旧株式の1株当りの取得価額 | = | ( | 旧株1株の従前の帳簿価額 | + | 旧株1株につき払い込んだ金額 | × | 旧株1株につき取得した新株の数 | ) | ÷ | 旧株1株につき取得した新株の数+1 |
五.株式配当により取得した場合の取得価額・・・旧株の帳簿価額と新株の額面金額が平均化される
新・旧株式の1株当りの取得価額 | = | ( | 旧株1株の従前の帳簿価額 | + | 新株の額面価額 | × | 旧株1株につき取得した新株の数 | ) | ÷ | 旧株1株につき取得した新株の数+1 |
六.利益積立金の資本組入れにより取得した場合の取得価額・・・旧株の帳簿価額にみなし配当金額を加算した金額を新・旧株式に分割する。
新・旧株式の1株当りの取得価額 | = | ( | 旧株1株当りの帳簿価額 | + | 資本に組み入れた利益積立金のうち旧株1株に対応する部分の金額(旧株1株当りのみなし配当金額) | ) | ÷ | 旧株1株につき取得した新株の数+1 |
七.利益積立金の資本組入れにより株式を発行しない場合
資本組入時に所有する株式1株当りの取得価額 | = | 旧株1株当りの帳簿価額 | ÷ | 旧株1株に対応するみなし配当金j額 |
八.合併により新株のみを取得したときの取得価額
新株1株当りの取得価額 | = | ( | 旧株1株の従前の帳簿価額 | + | 旧株1株当りのみなし配当金 | ) | ÷ | 旧株1株について取得した新株の数 |
九.合併により新株とともに合併交付金を取得したときの取得価額(旧株1株当りの新株の額面金額と合併交付金額の合計額が旧株1株の従前の帳簿価額を超えないとき)
新株1株当りの取得金額 | = | ( | 旧株1株の従前の帳簿価額 | + | 旧株1株において交付を受ける合併交付金 | ) | ÷ | 旧株1株について取得した新株の数 |
十.合併により新株とともに合併交付金を取得したときの取得価額(旧株1株当りの新株の額面金額と合併交付金額の合計額が旧株1株の従前の帳簿価額を超え、かつ、旧株1株当りの新株の額面金額が、旧株1株の帳簿価額を超えるとき。)
新株1株当りの取得価額 | = | ( | 旧株1株の従前の帳簿価額 | + | { | 旧株1株当りのみなし配当金額 | ( | 旧株1株当りの新株の額面金額 | − | 旧株1株の従前の帳簿価額 | ) | } | いずれか少ない金額 | ) | ÷ | 旧株1株について取得した新株の数 |
十一.合併により新株とともに合併交付金を取得したときの取得価額(旧株1株当りの新株の額面金額と合併交付金額の合計額が旧株1株の従前の帳簿価額を超え、かつ、旧株1株当りの新株の額面金額が、旧株1株の帳簿価額を超えないとき。)
十二.減資があった場合の取得価額
減資後の旧株1株当りの取得価額 | = | ( | ( | 旧株1株の従前の帳簿価額 | × | 減資直前における旧株の数 | ) | − | ( | 払戻金額 | − | みなし配当金額 | ) | ) | ÷ | 減資直前の旧株の数 |
※無償減資があった場合の株式の取得価額は、(1)法人が有する株式の一部がその旧株を発行した法人の無償減資により消滅した場合の旧株の評価額の計算については、(2)その計算の基礎となる旧株1株当りの帳簿価額は、旧株1株の従前の帳簿価額に減資直前におけるその法人の有する旧株の数で除して計算した金額とし、(3)かつ、その旧株は、同日において取得されたものとみなして取り扱います。
十三.旧株1株の従前の帳簿価額・・・身代わり株式の帳簿価額の付替計算の基礎となる旧株1株の従前の帳簿価額とは、(1)事業年度の中途で増資等の事実があれば、(2)期首からその時までの期間を1事業年度とみなして、(3)その法人の選定した評価方法(低価法を選定しているときは、その基礎となる原価法)によって計算した旧株の評価額によります。
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