取得価額


減価償却資産の取得価額は、その取得の形態の区分に応じて、それぞれ次によります。

NO取得方法取得価額
(1)購入その資産の購入代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他その資産の購入のために要した費用を含む)。その資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
(2)自己の建設、製作または製造 その資産の建設のために要した原材料費、労務費および経費の額。
なお、法人が算定した建設等の原価の額が税法所定の原価の額と異なる場合、その原価の額が適正な原価計算に基づいて算定されているときは、その原価の額をもって税法上の取得価額とみなす。
(3)自己が育成させた牛馬等成育させるために取得した牛馬等にかかる(1)の購入代価、(5)の被合併法人の取得価額、(6)の出資受入価額もしくは(7)の時価または種付料および出産費の額ならびにその牛馬等の成育のために要した飼料費、労務費および経費の額。
(4)自己が成熟させた果樹等成熟させるために取得した果樹等にかかる(1)の購入代価、(5)の被合併法人の取得価額、(6)の出資受入価額もしくは(7)の時価または種苗費の額ならびにその果樹等の成熟のために要した肥料費、労務費および経費の額。
(5)合併による受入 被合併法人が合併事業年度においてその資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額。
すなわち棚卸資産と異なり、合併法人の受入帳簿価額によkるのではない。償却計算上は、被合併法人の取得価額、残存価額、耐用年数をすべて引き継ぐ。ただし、帳簿価額は合併法人の受入帳簿価額による。
(6)出資により受入その試算の受入価額(引取運賃、荷役費、運送保険料、関税その他その資産受入れのために要した費用を含むが、その受入価額がまたは加算した金額がその受入時における資産の取得のために通常要する価額を超えているときは、その価額相当額とする)。
(7)(1)から(6)までの方法以外の方法(贈与、交換、債権弁済など)その取得時におけるその資産の取得のために通常要する価額。



圧縮記帳資産の取得価額


圧縮記帳をした資産の減価償却は、圧縮後の記帳価額を取得価額として計算します。
なお、圧縮記帳に当って、直接資産の帳簿価額を減額しないで、圧縮額を引当金として経理する方法(非減価償却資産では、引当金経理のほかに利益処分による積立金として経理する方法)も認められています。この場合には、減価償却、譲渡原価の基礎となる取得価額は、その引当金、積立金として経理した金額を控除した金額になります。


取得価額に算入しないことができる費用の例示


次に掲げる費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出したものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。

  1. 次に掲げる租税公課

  2. 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等その建設計画を変更したことにより不要となったものに係わる費用の額
  3. いったん締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金



資本的支出があった場合の取得価額


資本的支出としてその支出した事業年度の損金の額に算入されなかった金額があるときは、その金額を取得価額に加算します。


資本的支出と修繕費


修理、改良その他いずれの名義をもってするかを問わず、その有する固定資産について支出する金額で次の表に掲げる金額に該当するものは、損金の額に算入しない。

1その支出する金額のうち、その支出により、その資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額。
2その支出する金額のうち、その支出により、その資産の価額を増加させる部分に対応する金額。


  1. 資本的支出の例示
    固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうちその固定資産の価値を高め、またはその耐久性を増すことになると認められる部分に対応する金額。


  2. 修繕費に含まれる費用
    固定資産の修理、改良等のために支出した金額額のうちその固定資産の通常の維持管理のため、または毀損した固定資産につきその現状回復のために要したと認められる部分の金額。


  3. 小額または周期の短い費用の損金算入
    一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等が次のいずれかに該当するときは、その修理、改良等のために要した費用の額は修繕費として損金経理することができます。


  4. 形式基準による修繕費の判定
    一の修理、改良等のために要した費用の額のうち資本的支出か修繕費であるか明らかでない金額があるときは、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理することができます。


  5. 資本的支出と修繕費の区分の特例
    一の修理、改良等のために要した費用の額のうち資本的支出か修繕費であるか明らかでない金額があるときに、法人が継続してその金額の30%相当額とその固定資産の前期末取得価額の10%相当額のいずれか少ない金額を修繕費、残りを資本的支出として経理することが認められています。



一の修理、改良等に要した費用
↓フローチャート開始
修繕費←はい20万円未満か
資本的支出

↓いいえ
←はい周期の短い費用(おおむね3年)か

↓いいえ
明らかに資本的支出ははい→
↓いいえ
←はい明らかに修繕費か

↓いいえ
←はい60万円未満か

↓いいえ
←はい前期末取得価額のおおむね10%相当額以下か

↓いいえ
←Aの金額継続して7:3基準により経理しているかBの金額→

↓いいえ
←いいえ資本的支出かはい→


A:支出金額 × 30% と前期末取得価額 × 10% のいずれか少ない金額
B:支出金額 − A


ソフトウェアに係わる資本的支出と修繕費


ソフトウェアにつきプログラムの修正等を行ったとき、その修正が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等(いわゆるバグ取り)に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等(いわゆるバージョンアップ)に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当します。


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