貸倒損失


法人の有する金銭債権の貸倒れは、次の通り取り扱います。

金銭債権の全部または一部の切り捨てをした場合の貸倒れ

  1. 会社更生法若しくは金融機関等の更正手続きの特例等に関する法律の規定による更正計画の許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画の許可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられた金額
  2. 商法の規定による特別清算に係る協定の許可若しくは整理計画の決定又は破産法の規定による強制和議の許可の決定があった場合におけて、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
  3. 法令の規定により整理手続きによらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
  4. 債権者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債権者に対し書面により明らかにされた債務免除額



回収不能の金銭債権の貸倒れ

その債務者の資産状況、支払能力等から見てその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます。この場合、担保物があつときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできません。


一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ

債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権は、備忘価額を残して貸倒れとして損金経理したときは、これを認める。

  1. 債務者との取引を停止した時かた一年以上経過した場合
  2. 法人が同一地域の債務者について有する売掛債権の取立てに要する旅費その他の費用に満たない場合において、その債務者に対して支払いを督促したにもかかわらず弁済がないとき



非更正債権等の処理

更生会社等に対して債権を有する法人が、更生会社等に対して有する債権で指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生債権とされなかったものについては、その金額をその更生計画の許可決定のあった日において貸倒れつすることができます。更生計画の定めるところにより交付を受けた新株引受権又は出資引受権若しくは基金の拠出の引受権につて払込期日までに払込みをしなかったことにより消滅することとなった債権についても同様です。


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参考

民法に規定する時効
民法第144条【時効の遡及効】

時効の効力はその起算日に遡る

民法第147条【時効の中断事由】

時効は次の事由により中断する

  1. 請求
  2. 差し押さえ、仮差し押さえ又は仮処分
  3. 承認


民法167条【債権・財産権の消滅時効】

  1. 債権は10年間これをこれを行わざるときに消滅する
  2. 債権又は所有権でない財産権は20年間これを行わざるとき消滅する


民法第170条【三年の短期消滅時効】

次に掲げる債権は3年間これを行わざるとき消滅する

  1. 医師、産婆及び薬剤師の治術、勤労及び調剤に関する債権
  2. 技師、棟梁及び請負人の工事に関する債権。ただし、この時効はその負担した工事終了のときより起算する


民法第171条【同前】

弁護士は事件終了のときより、公証人はその職務執行のときより3年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類につきその責を免除する

民法第172条【二年の短期消滅時効】

弁護士及び公証人の職務に関する債権は、その原因たる事件終了のときより2年間これを行わざるとき消滅する。ただし、その事件中の各事項終了のときより5年を経過したときは、前述の期間内といえどもその事項に関する債権は消滅する

民法第173条【同前】

次に掲げる債権は、2年間これを行わざるとき消滅する

  1. 生産者、卸売商人及び小売商人が売却した産物及び商品の代価
  2. 居職人及び製造人の仕事に関する債権
  3. 生徒及び習業者の教育、衣食及び止宿の代料に関する校主、塾主、教師及び師匠の債権


民法第174条【一年の短期消滅債権】

次に掲げる債権は、1年間これを行わざるとき消滅する

  1. 月又はこれより短い時期をもって定めた雇人の給料
  2. 労力者又は芸人の賃金並びにその供給する物の代価
  3. 運送業
  4. 旅店、料理店、貸席及び娯遊場の宿泊料、飲食料、席料、木戸銭、消費物代価並びに立替金
  5. 動産の損料



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