繰延税金資産及び繰延税金負債の計上
(繰延税金資産及び繰延税金負債の処理方法)
15.
税効果会計の適用に伴い、貸借対照表上は、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金等に対しては繰延税金資産が、将来加算一時差異に対しては繰延税金負債が計上され、損益計算書上は、それらの差額を期首と期末で比較した増減額が法人税等調整額として計上される。ただし、資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額が直接資本の部に計上される場合には、当該評価差額に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の金額を当該評価差額から控除して計上する(会計基準第二の二の3)
(繰延税金資産及び繰延税金負債の計上額)
16.
一時差異等に係る税金の額は、将来の会計期間において回収または支払が行われると見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上しなければならない(会計基準第二の二の1)。すなわち、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上すべき金額は、将来の会計期間における一時差異の解消又は税務上の繰越欠損金の課税所得との相殺及び繰越外国税額控除の余裕額の発生に係る減額税金又は増額税金の見積額である。
(繰延税金資産または繰延税金負債の計算に使われる税率)
17.
繰延税金資産または繰延税金負債の金額は、回収または支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとし、繰延税金資産については、将来の回収の見込みについて毎期見直しを行わなければならない(会計基準第二の二の1及び2)。
繰越外国税額控除に係る繰延税金資産を除き、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に使われる税率は、以下のように事業税の損金算入の影響を考慮した税率(以下「法定実効税率」という。)による。
法定実効税率={法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷( 1+事業税率)
(回収又は支払が行われると見込まれる期の税率)
18.
税効果会計上で適用する税率は決算日現在における税法規定に基づく税率による。したがって、改正税法が当該決算日までに交付されており、将来の適用税率が確定している場合は改正後の税率を適用する。
(税率が変更された場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の計上額の修正)
19.
税効果会計に適用される税率が変更された場合には、決算日現在における改正後の税率を用いて過年度に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を修正する(会計基準注解(注6))。税率の変更が行われた結果生じた繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額は、損益計算書上、税率の変更に係る改正税法が交付された日を含む年度の法人税等調整額に加減して処理する(会計基準注解(注7)前段)。
ただし、資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額が直接資本の部に計上される場合において、当該評価差額に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を修正したときは、修正差額を評価差額に加減して処理するものとする(会計基準注解(注7)ただし書)。