税効果会計の方法


35.
税効果会計の方法には、税効果会計基準で採用された資産負債法のほかに、繰延法と呼ばれている方法がある。

従来の税効果会計の実務では、主に繰延法が適用されていた。繰延法とは、会計上の収益又は費用の金額と税務上の益金又は損金の額に相違がある場合、その相違項目のうち、損益の期間帰属の総意に基づく差異(期間差異)について、発生した年度の当該差異に対する税金軽減額又は税金負担額を差異が解消する年度まで貸借対照表上、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上する方法である。

したがって、税効果会計に適用される税率は期間差異が発生した年度の課税所得に適用された税率である。

これに対して、資産負債方とは、会計上の資産又は負債の金額と税務上の資産又は負債の金額との間に差異があり、会計上の資産又は負債が将来回収又は決済されるなどにより、当該差異が解消されるときに、税金を減額又は増額させる効果がある場合に、当該差異(一時差異)の発生年度にそれに対する繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する方法である。したがって、資産負債法に適用される税率は、一時差異が解消される将来の年度に適用される税率である。本報告は、資産負債法を前提として作成している。

一時差異と期間差異の範囲はほぼ一致するが、有価証券等の資産又は負債の評価替えにより直接資本の部に計上された評価差額は一時差異であるが期間差異ではない。なお、期間差異に該当する項目は、すべて一時差異に含まれる。




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