税効果会計の対象となる税金及び適用する税率
(対象となる税金)
38.
税効果会計の対象となる税金は、利益に関する金額を課税標準とする税金である。したがって、例えば、収入金額を課税標準とする事業税、法人税法上の土地の譲渡益に課される特別課税及び住民税の均等割税は、税効果会計の計算に含められる税金ではない。また、同族会社に適用される留保金課税は、利益の留保という事実に対して追加して課される税金であるため、税効果会計の計算には含められない。
(適用する税率)
39.
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に使用する税率について、本報告では法定実効税率とした。法定実効税率の算定には第17項に示されているとおりであるが、税制上、次の事実に基づいてえられた算式である。
- 税効果会計に適用される税金の課税所得に対する比率を求める場合に、住民税率は、法人税を課税標準としているため、課税所得に対する税率に調整する必要があること
- 事業税がその支払事業年度(又は更正決定年度)の課税所得の計算上、損金算入されること
課税所得に対する合計税率は、法人税率×(1+住民税率)+事業税率となる。また、法定実効税率(これをxとする。)を得るには、合計税率(これをtとする。)から、事業税率(これをeとする。)に法定実効税率(x)を乗じた分だけ控除すればよい。すなわち、法定実効税率は、
x = t − e × x
で表される。
これを展開すると次のとおりである。
x + e × x = t
x ( 1 + e ) = t
x = t ÷ ( 1 + e )
法定実行税率=合計税率÷(1+事業税率)
また、税効果会計基準が採用した資産負債法は、一時差異等の将来の解消時又は消滅時において税金を増額又は減額させる効果を見積もる立場をとっていることから、税法の改正により税率の変更が予定されている場合には可能な限り改正内容を取り込むべきであるとの意見もある。しかし、本報告では、決算日現在における税法規定に従った将来の適用税率によることとし、改正税法が決算日までに公布されており、将来の税率改正が確定している場合は、改正後の税率を使用することとした。