繰越外国税額控除の税効果
(税務上の繰越外国税額控除)
45.
国外源泉所得は国内源泉所得と合算され、我が国の法人税等の課税対象となるが、一定の算式により計算された金額(以下「控除限度額」という。)を限度として、実際に納付又はみなし納付された外国法人税額を我が国の法人税及び住民税額から控除することができる。控除対象となる外国法人税額は、主に在外子会社等の在外事業体からの支払配当等に係る源泉徴収税額、在外事業体の所得に課された外国法人税額のうち受領した配当の額に対応する金額及び在外支店に課された外国法人税である。ある事業年度に支払った外国法人税額が、当該事業年度における控除限度額を超過していれば、投資を保有する我が国の会社の法人税及び住民税の申告上、当該超過額を翌期以降3年以内の期間にわたり繰り越すことができる。この繰り越された外国法人税額を、繰越外国税額という。この3年以内の期間に課された控除対象となる外国法人税額が控除限度額に満たない場合には、その差額(以下「控除余裕額」という。)を限度として、繰越外国税額を控除余裕額の発生した年度の我が国の法人税及び住民税から控除することができる。繰越外国税額は、その発生年度の翌期以降に発生した控除余裕額に充当できた年度の法人税等として納付すべき額を減額する効果をもたらすため、この効果に対して繰越外国税額の発生年度に繰延税金資産を計上する。
(繰越外国税額控除に係る繰延税金資産の回収可能性)
46.
繰越外国税額控除に係る繰延税金資産の回収可能性は、繰越可能な期間に発生する控除余裕額の大きさに依存する。すなわち、繰越可能な期間における国外源泉所得が大きいこと及び外国法人税率が国内の法人税及び住民税の税率に比べて低いことが控除余裕額を大きくする結果となる。したがって、繰越外国税額が充当されるのは、主に我が国の税率よりも低い外国法人税率が適用される在外事業体からの国外源泉所得が大きい場合である。そのため、確立した配当政策又は適切なタックスプランニングにより、将来において十分な国外源泉所得が稼得されること及び我が国の税率よりも低い税率が適用される国からの国外源泉所得が確実に予想されるなど、繰越外国税額控除の実現が確実に見込まれる場合に、見込まれる額まで繰延税金資産を計上する。