適用初年度における税効果会計の取扱い


(適用初年度における過年度に発生した一時差異等に係る税効果の取扱い)

以下に簡単な設例により、適用初年度における過年度に発生した一時差異に係る税効果の取扱いを示す。

(設例)



前事業年度末
当事業年度末
将来減算一時差異


貸倒引当金損金算入限度超過額
500
800
退職給与引当金損金算入限度超過額
500
500
賞与引当金損金算入限度超過額
400
900
減価償却費損金算入限度超過額
1,000
700
棚卸資産評価損
1,000
-
将来加算一時差異
△200
△100
圧縮積立金


3,200
2,80
法定実効税率(注)
40%
40%
繰延税金資産(純額)
1,280
1,120
繰延税金資産(純額)減少額
-
160

(注) なお、税率は事業税の損金算入の影響を考慮した税率を使用しているが、単純化のため事業税に係る一時差異は考慮していない。


損益計算書




税引前当期純利益
10,900
法人税、住民税及び事業税
4,200

法人税等調整額
160


4,360
当期純利益
6,540
前期繰越利益
4,500
過年度税効果調整額
1,280
税効果会計適用に伴う圧縮積立金取崩高
80(200×40%)
当期未処分利益
12,400


貸借対照表
当事業年度末
(資産の部)

流動資産
繰延税金資産
680
投資その他の資産
繰延税金資産
440
(負債の部)


(資本の部)


圧縮積立金
120
当期未処分利益
12,400


利益処分案
当期未処分利益
12,400
圧縮積立金取崩高(注)
60(100×(1−0.4))
利益処分
配当金
×××
利益準備金
×××
次期繰越利益
×××

(注) 圧縮積立金取崩高の税効果額40については、法人税等調整額に含まれている。


(税効果会計適用に伴う長期納税引当金の取扱い)


以下に、長期納税引当金を計上している場合の例を示す。

(長期納税引当金がある場合の例)

第33項の本文の適用
借方
金額
貸方
金額
長期納税引当金
100
繰延税金負債
100


第33項ただし書の適用
借方
金額
貸方
金額
繰延税金負債
10
過年度税効果調整額
10

注意:金額の計算(100−90=10)

第31項による過年度一時差異等に係る税効果額の計上
借方
金額
貸方
金額
繰延税金資産
200
過年度税効果調整額
200




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