設例4 利益処分方式による租税特別措置法上の諸準備金等の税効果(償却資産−税率変更の場合)


(償却資産−税率変更の場合)

  1. 前提条件

    設例3における圧縮記帳額1,000は、X2年度以降10年間にわたり税務上毎期100づつ取り崩し、当該取崩高を課税所得に加算する。
    X2年度の税効果会計適用上の法定実効税率は40%とする。

  2. 仕訳

    (X2年)決算時
    借方
    金額
    貸方
    金額
    繰延税金負債
    100
    法人税法等調整額
    100

    繰延税金負債の計算:(1,000−100)×40%=360
    法人税等調整額の計算:460−360=100

    繰延税金負債の当期減少額100を分解すると、以下のようになる。
    @.税率変更による減少額:1,000×(40−46)%=−60
    A.一時差異の減少による減少額:−100×40%=−40
    B.@+A=−100

    税率変更により繰延税金負債の額が60減少することになるが、これに伴い、利益処分を通じて同額だけ固定資産圧縮積立金に繰り入れることとなる。また、利益処分による固定資産圧縮積立金の取崩しは、一時差異の減少額100からこれに対応する変更後の税率による税効果相当額Aの40を差し引いた金額60である。

    利益処分
    借方
    金額
    貸方
    金額
    未処分利益
    60
    固定資産圧縮積立金
    60

    税率変更による固定資産圧縮積立金の調整額:1,000×(46−40)%=60

    借方
    金額
    貸方
    金額
    固定資産圧縮積立金
    60
    未処分利益
    60

    税務上の取崩し100による固定資産圧縮積立金の取崩高:100−40=60


    なお、税率変更による調整額は、繰延税金負債の修正額として、損益計算書上、税率変更年度の法人税等調整額に含めて処理されるが、税率変更に係る改正税法が公布された日を含む年度に係る利益処分を通じて固定資産圧縮積立金に加減されることに留意する。


財務諸表表示例



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