設例5 税効果会計適用前の利益処分方式による固定資産圧縮積立金に係る税効果額−適用初年度の取扱い
- 前事業年度に係る利益処分により、固定資産圧縮積立金400を積み立てている。
- 当事業年度における税引前当期純利益は100、前期繰越利益は0である。
- 固定資産圧縮積立金は当事業年度から10年間にわたり均等額を取り崩す。
- なお、法定実効税率を40%とする。
- 期首繰延税金負債の計算
税効果会計の適用に当たり、税効果会計適用前に利益処分方式により計上された固定資産圧縮積立金に係る税効果相当額は、前期繰越利益の調整項目として処理し、第32項の処理を通じて繰延税金負債に計上する処理を行う。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
固定資産圧縮積立金 | 160 | 税効果会計に伴う固定資産圧縮積立金取崩高 | 160 |
通年度税効果調整額 | 160 | 繰延税金負債 | 160 |
期首繰延税金負債の計算:400×40%=160
- 当期末の税効果額の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
繰延税金負債 | 16 | 法人税等調整額 | 160 |
@.期首繰延税金負債 160
A.期末繰延税金負債 (400−40)×40%=144
B.繰延税金負債減少額 A−@=−16
- 当事業年度に係る利益処分
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
固定資産圧縮積立金 | 24 | 固定資産圧縮積立金取崩高 | 24 |
固定資産圧縮積立金の取崩高:40−16=24
- 上記処理の結果、繰延税金負債と固定資産圧縮積立金の利益処分後の残高との合計額は、将来減算一時差異の金額と一致する。
- 繰延税金負債(160−16=144)+固定資産圧縮積立金利益処分後残高(400−160−24=216)=360
- 将来減算一時差異期末残高:400−40=360
- 以上の処理に基づき(1)貸借対照表、(2)損益計算書及び(3)利益処分案を作成すると、以下のようになる。
貸借対照表
当事業年度末 |
(資産の部) |
|
… |
|
(負債の部) |
|
… |
|
繰延税金負債 | 144 (160−16) |
(資本の部) |
|
… |
|
固定資産圧縮積立金 | 240 |
当期末未処分利益 | 60 |
損益計算書
… |
|
|
… |
|
|
税引前当期純利益 |
| 100 |
法人税・住民税及び事業税 | 56(100+40)×40% |
|
法人税等調整額 | △16 |
|
差引 |
| 40 |
当期純利益 |
| 60 |
当期繰越利益 |
| 0 |
過年度税効果調整額 |
| △160 |
税効果会計適用に伴う固定資産圧縮積立金取崩高 |
| 160(400×40%) |
当期未処分利益 |
| 60 |
利益処分案
当期未処分利益 | 60 |
固定資産圧縮積立金取崩高 | 24 |
次期繰越利益 | 84 |