『 黄葉(もみつ)する 時になるらし 月人の 桂の枝の 色づく見れば 』 万 葉
*黄葉【もみ・つ】草木の葉が赤または黄になる意味の動詞。
*桂 中国の伝説で「月中」にあるという樹。
*月人 月を擬人化していう語。「月人男」の略。
(浮間水生で水面に浮かんだ月と落ち葉の二重露光)
以下の歌は古今
同じ枝を わきて木の葉の うつろふは 西こそ秋の はじめなりけれ
散らねども かねてぞ惜しき もみぢ葉は 今はかぎりの 色と見つれば
秋風に あへず散りぬる もみぢ葉の ゆくへさだめぬ 我ぞかなしき
ものごとに 秋ぞかなしき もみぢつつ うつろひゆくを かぎりと思へば
『 黄葉する 時になるらし 月人の 桂の枝の 色づく見れば 』
万葉人が見たであろう風景を追ったわけだが、追体験したなどと自惚れてはいない。
拙い写真に違いないのだが、一片の曇り、感傷など全くない歌の前に、精神の脆弱さが透けて見え隠れしている。