今週のメッセージ 2000.3.5

良心を正しく機能させるもの

 

先週は、新潟の女性監禁事件をめぐる新潟県警の虚偽発表に端を発した一連の不祥事の話題が、日本全土を賑わした一週間でした。事件解決を長引かせてしまった捜査ミスが次々と明るみに出され、他方では虚偽の報道発表を発端に、新潟県警本部長の引責辞任、関東管区警察局長の同じく引責辞任、そしてついには警察庁長官の懲戒処分にまで発展する始末となりました。全国の警察組織のトップが在任中に処分を受けた例は過去にないといわれます。また今回の不祥事や処分をめぐって、国の公安・警察行政を監督し、民主国家の警察のかなめ役であるはずの国家公安委員会の機能が不十分であるとの問題も取り沙汰されています。

世の中の不正不義を取り締まるはずのかなめがこの体たらくとあっては何をか言わんやです。法律の適正な適用以前の「人間の良心」の機能麻痺を感じます。この部分が損なわれては、法律をいくら整備し、罰則をどんなに強化しても無駄です。基本となるのは「人間の良心」が健全に機能することです。

ところで「良心」は、日本語では「良い心」を意味するものとなっていますが、英語や新約聖書の原語のギリシャ語では、「共に」という意味の接頭語と「知る」という意味の語が合わさって出来ています。つまり「共に知る」という意味を持っている語なのです。自分自身と、もう一人の存在―神―が指し示されると共に、その両者の共同作業で善悪の判断がなされることを示唆している語となっているわけです。つまり、「人間の良心」が正しく機能できるためには、やはり神を畏れ敬う信仰心が不可欠なのです。

「『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて。」

(旧約聖書・コヘレトの言葉12:13)