今週のメッセージ 2000.7.2

ヒトゲノムの解読

日本では、21世紀の政治的枠組みを決めると言われた衆議院議員総選挙が終わった翌日、米国では、クリントン大統領がヒトゲノムの解読を概ね完了したと発表しました。国の内外を問わず、世界は急速に動いていることをあらためて実感させられる思いです。

ところでヒトゲノムとは人間の遺伝情報全体を指すのだそうです。それが解読されることは、その人の将来の可能性がわかる、また、その人の家族の情報もある程度わかってしまうことに通じるのだそうです。

このことは、一方においては病気の治療や診断、予防等に応用できるメリットを秘めていますが、他方においては、個人のプライバシーや倫理の問題、また差別の危険性等をはらんでいると指摘されています。法的整備や社会的備えが追いつかないまま、ビジネスとして暴走してしまうことが懸念されています。特にわが国においては、こうした分野で遅れをとっていると言われています。

科学の進歩は人間の知識と技術の進展に多大の貢献をして来たことは事実です。しかし今世紀末に来て、いよいよ人類はその分を超えた領域に踏み込み始めたようです。すなわち、神ならぬ者が神の領域に介入し始めたのです。今こそ人間は、本当に謙虚になることを学ぶ必要があります。可能性を求めてチャレンジすることは大切ですが、やはり人間としての分と限界をわきまえることも非常に大切です。さもないと自らを滅ぼすことになるからです。

聖書は、人間が物事を真に正しく知っていく道を次のように示しています。

「主を畏れることは知恵の初め。」(旧約聖書・箴言17節)