今週のメッセージ 2000.7.16

「心の病」の持つメッセージ性

最近、「心の病」に原因すると思われる少年犯罪が相次いでいます。そして、そうした犯罪を引き起こした少年の精神状態を理解しようとしても戸惑いを禁じ得ないというのが正直なところです。

「心の病」を扱う専門家というと精神科医が挙げられます。また宗教も心の問題を扱う領域といえます。では、その両者の連携はどうかというと、精神科医の中には宗教とか信仰に関してかえって邪魔物扱いされる向きが多いように思います。他方、宗教家、信仰者の中には医者など不要と考えたり、また精神的病に冒されるのは信仰が足りないからだと考えてしまう向きがあったりします。

牧師の働きを担いながら、かねがね同じキリスト教信仰を持っている精神医療の専門家に、心の病とその治療の専門家の立場で、信仰というものをどのように考えているのか聞いてみたいと思っていました。すると先週、願ってもない機会が与えられ、神戸まで出かけてきました。

そこで得た収穫については、追々このコラムでもご紹介しようと思いますが、先週受講した講座の中で、講師の先生が非常に興味深いことを言われていました。それは分裂病に関してなのですが、人類が地球上に登場してから現在に至るまで、分裂病者がいつの時代にも全人口の0.70.8%の一定の割合で発症してきたというのです。時代や文化や性別には関係がないということです。そしてそのことは、われわれに何か重大なメッセージを送り届けてくれているのではないか。もしこの地球上に健常者ばかりが住んでいるとしたら、傲慢と競争、生産と効率のみが支配する味気のない世界になるに違いない。精神病患者というのは不思議な存在で、健常者の内に潜む現在をあぶり出してくれると言われていました。