今週のメッセージ2000.8.13

人はみな支え合って生きている

この8月16日は母の88歳の誕生日となるはずでしたが、2月に主の御許に召され、ついに母の誕生祝も終止符が打たれました。

母は5年前まで横浜で、3歳の時の病気が故で聴覚言語障害を持って生きることになってしまった弟と二人暮らしをしていました。

しかし寄る年波でそれも覚束なくなり、半ば強引にこちらへ呼び寄せ、ス−プの冷めないところにアパートを借りて住んでもらいました。

以来5年近くわたしたちのそばで暮らしたわけですが、その間を通じていろいろと教えられたことが多くありました。

そのひとつは、人はみな支え合って生きているのだということでした。

わたしには他に弟が二人あり、それぞれ所帯を持って生活を営んでいます。障害を持つ弟は一番下にあたります。ところで、晩年の母が入院を余儀なくされるまで一番そばにいて、ある意味で支えたのはその弟でした。また、日常生活において、弟の耳となり口となったのは老齢の母でした。もちろん、わたしたち夫婦がスープの冷めないところにいてのケアがあってのことといえば確かにそうなのですが、さりとてわたしたちが何もかも出来たわけではなく、日常的な中でのある部分では、親兄弟の中で一番助けを助けを必要としているはずの母が、そして弟が、他の者たちよりも母を助け、弟を助けたことは事実なのです。その御蔭でわたしたちもずいぶん助けられたのでした。

健常者だから一方的に支え、障害者だから一方的に支えられて生きるというわけではないのだということを、身をもって教えられたという思いがしています。人間はみな互いに支え合って生きているのだと思います。その意味で思い上がってはいけないし、また卑屈になってもいけないのです。