今週のメッセージ 2000.9.10

「お彼岸」考

今月の23日は「秋分の日」。この日を中心に前後の3日間ずつ、併せて7日間をいわゆる「お彼岸」と呼び、お墓参りをすることが昔からの習わしになっています。ご先祖さまを重んじ、お墓を大事にすることはわが国の古くからの美風といえるでしょう。しかし他方、それが人間の心の自由を奪い、生き方を束縛してしまっている事実も否めないように思います。

そもそも「春分の日」や「秋分の日」とお彼岸そしてお墓参りはどのように関連しているのでしょうか。

仏教をはじめ他の宗教に造詣が深く著書もあるひろさちや氏の説明によると、仏教行事と思われている「お彼岸」は、インド(仏教発祥地)や中国(仏教伝来の中継地)にはない、日本独自のもののようです。

さらに氏の説明によると、「春分の日」や「秋分の日」は、太陽が真東から昇り、真西に沈む。古くから日本人は、死者の往く所は遠く海の彼方にあると考えていた。それに浄土信仰の影響が加わって、いつのまにか死者の国は西方にあると信じられるようになった。そこで、「春分の日」や「秋分の日」には、真西に沈む太陽を眺めつつ、死者、即ちご先祖さまを偲ぶ行事が行われるようになったというのが、「お彼岸」とお墓参りの起源とのことです。従って、「お彼岸」は純粋な仏教行事とはいい難く、太陽崇拝がその元にあるということです。

誤解を恐れず敢えて言うならば、崇拝すべきは太陽よりも太陽を創造された方、そして死者より生者の心と生き方の自由をより重んずることを考えてみる必要もあるのではないでしょうか。

「御言葉によって天は造られ、主の御口の息吹によって天の万象は造られた。」(旧約聖書・詩編33章6節)

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