今週のメッセージ 2000.10.15

十字架上のイエスの祈り

「父よ、彼らをお赦し下さい。自分が何をしているのか知らないのです。」

(新約聖書・ルカによる福音書2334節)

冒頭のことばは、主イエスが十字架上で祈られた祈りのことばです。

主イエスの十字架の立つゴルゴタの丘のイラストには、しばしば3本の十字架が描かれます。主イエスが十字架につけられた時、その両サイドに二人の犯罪人の十字架も立てられたからです。

この二人の犯罪人が、いかなる罪を犯したのかは定かでありませんが、処刑されるほどですから、それ相当の重罪を犯したに違いありません。

そのうちの一人はイエスに向かって、“お前は救い主なのだろう。ならば、自分を救い、俺達も救ってみろ!”と口汚なく罵りました。ところがもう一人の方は、“俺達は自分たち犯した罪の当然の報いを受けているのだ。しかし、この方は何も悪いことをしたわけではない。”と相棒をたしなめたのでした。そしてイエスに向かってあわれみを乞うのです。すると主イエスは、「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」とその救いを約束されたのでした。

一体何が、あの十字架上の修羅場で、この犯罪人に、イエスに対する信仰を喚起させたのだろうかと考えます。

主イエスの十字架は、何の罪もないイエスが、時の宗教的指導者、政治的権力者、学者、民衆、果ては弟子達からも見捨てられ、すべてを失い、自分のいのちすらも奪われようとしたものでした。そのような不条理の中で、苦しい息の下から祈られたあの冒頭の祈りを、隣りの十字架上で聞いたことに拠って彼は救い主イエスを彼は知ったのだと思います。

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