今週のメッセージ 2000.10.22

神への信と人への信

21日付「朝日新聞」のコラム『論壇』に愛知県立岡崎高校の教諭で村上慎一という先生が、教育再生の問題について「信の国」をつくろう、という提言をされていた。その主張のポイントは以下の如くである。

戦前の「忠孝」を第一とした倫理規範に代わるものを、戦後見つけられずにきてしまった。その生き方は詰まる所、それぞれの欲望の充足を最優先するものと言えよう。人々の欲望を最もよく充足するのはお金。そこで無意識的に学校は、お金を手にすることにおいて有利な職業を社会的地位の高い職業として紹介した。そのため学校の教師の言うことに忠実な、成績の良い生徒がこぞってそうした職業を志望した。その結果、誠実になすべきことをなし努力しても好成績を得られない生徒より、人間的欠陥があっても成績のよい生徒の方が評価されてきた。しかし、こうした教育は退廃を生み出し、もはやのっぴきならないところまで来ている、とした上で、「信」を中心とした倫理規範の創造の必要を述べている。

「人間が人間としてよく生きるとは、他者との関係をよく生きることである。いかに多くいかに深く他者に信頼されるか、他者を信頼できるかをよく生きているかどうかの尺度としたい」というのが「信の国」創造主張する村上氏の根底にあるものである。

まことに同感である。そして、相互の「信」が築かれるためにはその土台として「神への信」が大事だと主イエスは言われている。

「イエスは言われた。『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のよに愛しなさい。』」(新約聖書・マタイ223738

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