今週のメッセージ2000.11.12

七五三の時節に思う

来る15日は「七五三」の日です。昨日の土曜日そして今日の日曜日あたりは、街に着飾った親子連れが目につく時節です。親御さんたちは今日までの子どもの成長を喜び祝い、併せて今後の健やかな成長を願うのです。

ところで最近、ドロシー・ロー・ノルト著『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP)話題を呼んでいます。すでに世界10カ国で愛読され、数百万人が共感した子育ての知恵が著わされている書と言われます。

どんな“魔法の言葉”が書かれているのだろうと書店で買い求め、読んでみました。冒頭に、『子は親の鏡』と題した著者の19行から成る詩が紹介されており、以下その1行づつを解説するというのが本の内容構成となっています。

成る程と頷けることばかりです。しかしその中で、今日の子育てとのかかわりで特に傾聴すべきことの一つと思われることを紹介するなら、「わたしたち親が子どもに与えられる一番のことは、子どものそばにいてあげることです」という1節です。

女性の自立が叫ばれる今日です。ともすると、女性が男性に伍してお金を稼ぐことが即ち自立、と主張される向きがあります。しかしお金には換算されないけれども、お金を儲ける以上に大切なことがあると思います。子育てはその最たるものでしょう。女性が働くことを否定するわけではないし、また子育ては女性の仕事というわけでもありません。しかし子育ての特に初期の過程にあっては、親が子どものそばにいてあげることが、かけがえのない価値を有していると考えます。ところが、女性の社会進出と相俟って、とかく見落とされがちな危険を感じます。後になっては取り返せない、またお金では埋め合わせが利かない価値がそこにはあるのです。

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