今週のメッセージ 2000.11.19

奸計をさばかれる神

聖書の中に「神」という語が一度も出てこない書が二つあります。いずれも旧約聖書の中にある書で、一つはGステル記』、もう一つは『雅歌』という書です。後者の『雅歌』は男女の愛を描いたもので、聖書の中にもこんな書があるのかとびっくりするほどエロチックな描写が出てきます。

それに対し前者の『エステル記』の方は、「神」という語を用いないで神の存在とその支配を実に見事に描いています。ペルシャの時代に、民族として根絶やしにされそうになったユダヤ人たちの危機を、神の奇しきみ業によって守られた出来事が記されているのです。「神」という語が一度も出てこないにもかかわらず、神の存在とその奇しきご支配が、実にあざやかに描き出されています。書名にもなっているエステルという若き女性が、同胞の危機を救うべく活躍します。ユダヤ人の撲滅を企てたハマンという人物が、ユダヤ人モルデカイと言う人物を処刑しようと準備した柱に、反対にハマン自身が吊るされてしまう辺りは圧巻です。

またユダヤ人であるうら若き女性エステルが、なんと王様の妃として宮殿に召し入れられることになります。そしてそのエステルの命懸けの活躍が同胞の危機を救うこととなっていくのです。奸計をさばかれる方である神を強く覚えさせられます。

今日、神など存在しないと考えている方々が沢山います。わたし自身も高校時代、神を信じると言う友達の話しを学校の屋上で聞きながら、空を見上げて「どこに神がいるというのか」と思った頃がありました。

そんな方、秋の夜長に「エステル記」を読んでみるのも面白いですよ。

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