今週のメッセージ 2001.3.4

「らい予防法」廃止から5年

今日の礼拝で、主イエスが「思い皮膚病」を患っていた人を癒された記事(新約聖書・マルコ1:40〜45)からメッセージを取り次ぐべく、先週はハンセン病に関しいろいろと資料に当たり、思いをめぐらす時が与えられました。

そんな折、3/2付の「天声人語」において、ハンセン病患者について触れている記事に接しました。その中で、隔離政策により差別され、苦痛を受けた各地の療養所入所者が、国を相手に訴訟を起こしていること、そしてその中のお一人森元美代治さんといわれる方が、東京地裁での訴訟の口頭弁論で、予防法が廃止された後、療養所から帰郷し、親族、友人との絆を回復できたのは、自分が知る限り3人しかいないこと、そしてもっと早く予防法が廃止されていたら、いくらでも人生のやり直しができたのに悔しくてならない、と訴えておられるとのことでした。

アメリカでプロミン療法が発見されたのは1941年。それから5年後の1946年にはわが国でもその合成に成功したといわれます。治療にも著しい効果が認められ、1960〜66年になると、新規入所者も減少し、患者の高齢化進んだといいます。しかし、予防法が廃止に至るまでにはさらに30年を要したわけです。

今を溯ることあの1世紀の頃、隔離規定にもかかわらず病める者が主イエスに近づいたこと、その者に主は手を伸ばして触れ、「わたしの心だ。きよくなれ」(41節)と言われると、たちどころにその者が癒されたこと、まさにそこに憐れみに富んだ真の神なる主がおられたのです。

それから2000年、わたしたちは、他者の痛みを理解するのに疎く、気づかないで他者を差別・疎外し続けて来てしまっているのだと思います。