今週のメッセージ 2001.3.11

罪を赦す権威を持つ方

「人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」

(新約聖書・マルコによる福音書2:10)

昨日の朝のテレビ・ニュースは、えひめ丸に衝突した米国潜水艦の前艦長ワドル氏が被害者の家族に対して深々と頭を垂れ、涙ながらに謝罪したと報じていました。

この謝罪はワドル前艦長と被害者家族の双方にある変化を生み出しました。前艦長は、その後詰めかけた取材記者たちの前を過ぎる時、“おはよう!”と声をかけるようになったとのことです。他方、被害者家族も、これまでは憎しみが自分を支えてきたけれども何か力が抜けた、人間的にはすばらしい人だと感じた、前艦長も気の毒だと思った、等々の感想を語っていました。

謝罪は、ワドル氏の心の負担をずいぶん軽くしたようです。被害者家族のワドル氏に対するそれまでのこわばった心をかなり和らげたようです。このことは、赦し赦される方向に多少なりとも前進することが、どんなに人の心の負担を軽くするかを端的に示しているといえるでしょう。今後も裁判の成り行きにつれて双方の心も揺れ動くことでしょう。しかし、赦し赦されることは人間の魂を癒す方向に向かい、他方、赦せない、赦されないことは、魂を蝕み、地獄の様相を呈することになるのです。

ところで、赦しはどこから来るのでしょうか。確かに今後裁判で判決が下り、償いがなされることになるでしょう。それで赦しは成立するのでしょうか?否、真の赦しは神からしか来ません。冒頭の聖句は、イエス・キリストこそ、罪を赦す権威を持っている方であると告げています。