今週のメッセージ 2001.5.6

体と部分から学ぶ全体と個のあり方

国連の難民高等弁務官として8年に渡りその任を担われた緒方貞子さんという方がおられます。最近ドイツは緒方さんに対し、「人間として、アフリカやバルカンの難民の救援に全力をあげた」として、ラウ大統領より国の最高位の功労勲章を授与したのです。日本人の緒方さんに対して、ドイツの元首がその国の最高栄誉でたたえたことに感動を覚えました。しかも、ドイツの国に対して何か特別な功労があったというのではなく、外国の難民に対して「人間として」功労があったとしてドイツ国の最高栄誉を授与したのです。まさにグローバルな視点に立って、崇高なコンセプトをもって行動しているドイツに、人間としての高貴さを感じた次第です。

もはや、個人から国家にいたるまで、自分また自国の利益のみを考えて行動する時代は終わりを告げたのです。常に全体のことを考えて行動しないと、地球全体が滅んでしまうという危機が現実のものとして実感される時代となっているのです。

新約聖書に次のようなことばがあります。

「あなたがたはキリストの体であり、また、一人一人はその部分です。」

(?コリント12:27)

人間の体はさまざまな部分が結合して成り立っている有機体です。どの部分一つをとっても、その部分だけのために存在し機能している部分はありません。目、鼻、口、手、足、心臓、肝臓...、どの部分も必ず体全体のために機能しています。そして一つ一つの部分は、体全体によって支えられ、養われているのです。

被造物全体は、実は最初からこの原理の認識の上に立って生きるべきなのです。ばらばらに生きることは、その先に滅びしかないのです。