今週のメッセージ 2001.7.29

小泉総理の靖国公式参拝問題に思う

間もなく8月に入ります。すると小泉総理が公式参拝を宣言している終戦記念日の15日がやってきます。これについては中国、韓国などから強硬なクレームがついており、政府も対応に苦慮しています。

クレームのポイントは主としてA級戦犯が合祀されている点なのですが、この公式参拝にはもうひとつ重大な問題点――政教分離――があります。しかし、政教分離についてはどうも問題認識が希薄のように感じられます。玉串料問題等もそうですが、どうも宗教がらみの問題は、伝統・習俗の問題とごちゃ混ぜになって正しく認識されていない嫌いがあります。

小室直樹がその著書『日本人のための宗教原論』において、日本の宗教学者・宗教評論家でさえ、「宗教の何たるかが全然わかっていない」、またいわゆるカルト集団による社会を震撼させた事件について、「日本人が宗教を知らないことに起因する」、さらにまたオウム事件に言及し、「(オウム事件ほど)日本宗教の致命的欠陥、いや、宗教不在を如実に証明してくれたものはない」、と述べています。賛否両論あろうかと思いますが、日本人が宗教というものに関して問題のある国民であることは否めないようです。

以前、コーランが破り捨てられていたことに対して、イスラム教徒達の激しい抗議がありました。大方の日本人は彼らの激しさに異常性を感じたことでしょう。しかしそれは裏を返せば、日本人が宗教というものに対してそれだけ軽く考えていることの表われといえます。

今日叫ばれている“改革”には、是非、宗教必要性の認識改革も含めるべきだと思います。なぜなら、「『神をを畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて」(旧約聖書・コヘレトの言葉1213だからです。