今週のメッセージ 2001.8.12

何を最優先課題とするか

参院選挙も終わり、小泉内閣のいわゆる“聖域なき構造改革”に関する“骨太方針”も具体的実施の段階へと入ってきました。総論においては改革賛成を唱えても、いざ各論となるとなかなか大変と思います。それぞれ立場が異なると、“公益”の考え方も異なり、利害の対立が生じてくるからです。それらを調整して合意点を見出して行くのがまさに政治の仕事です。詰まる所、何を最優先課題とするかです。

このことは国の政治に限らず、個々人の生き方においても大きな問題です。健康を最優先に考える人もいます。健康を多少犠牲にしても見かけの容姿、プロポーションを最優先に考える人もいるでしょう。否、そんなことより経済力が最大の課題と考える人もいます。地位や肩書きを最大の関心事とする人もいます。また、優しさ、思い遣りといった人間性を大事に考える人もいるでしょう。

どの考え方に立とうとその人の自由、というのが現代の一般的な考え方かと思います。

確かに個々人の主体性、自律性は尊重されるべきことです。しかし他方において、人間には限界があることも認め、謙虚になることも大切です。肝心要のその人の存在の始まりである「誕生」、そしてその人の人生の終りとなる「死」は、その人自身の決定の外にあります。つまり、それを決定する誰か別な存在がいるのです。

その存在が人間の最優先課題について次のように語ります。

「人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。」 (新約聖書・マタイ16:26)

「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。」 (同上6:33)