今週のメッセージ 2001.9.23

420対1

420対1。去る14日、米下院でブッシュ大統領に、この度の同時多発テロに対する、武力行使を認める決議が採択された折の結果です。賛成票420に対し、たった1票だけ反対票があったのです。この1票を投じたのはカリフォルニア州選出のバーバラ・リー議員。「誰かが抑制を利かせねば...」と投じられた1票です。この1票に限りない重みを覚えます。

テロが勃発し、アメリカは即座に報復を世界に向かって宣言しました。このことに対し、最近、キリスト教国なのになぜ?と問われることしばしばです。しかしこの1票があることも忘れてはならないと思います。

あのようなテロ行為は断じて許されません。多大の尊い人命を奪われ、かつ多大の損害を被った当事国アメリカにしてみれば、テロに対して問答無用の報復に走りたくなるのも無理からぬことでしょう。

しかし、火では火は消せません。北風ではマントは脱がせません。「剣を取る者は皆、剣で滅びる」とは、有名な主イエスのことばです(新約聖書・マタイ2652)。

冷静になって1票の重みをそしてそのメッセージを受け止めたいのです。世界中が英知と忍耐と思い遣る心を結集させて、テロが起きてしまった根因から掘り起こして最も適切な対処の道を探らねばなりません。

 先日、友人からのメールで、アフガニスタンの現場からの声が転送されてきました。それは、国連難民高等弁務官カンダハール事務所で働いておられる千田悦子(ちだ・えつこ)さんという方の手記がでした。その中には、「アフガニスタンにも たくさんの一般市民が今回の事件に心を砕きながら住んでいる。アフガンの人々にも嘆き悲しむ家族の人々がいる」とありました。