今週のメッセージ 2001.9.30

平和を実現する人々

「420対1」の「1」票を投じたバーバラ・リー下院議員の唯一の反対票について、米国民の間で論議を呼んでいるようです。一方では「英雄」と評価され、他方では「裏切り者」呼ばわりされているとか。「朝日」の報道によると、リー議員の選挙区はカリフォルニア州オークランドとバークリー。そこで、サンフランシスコ・クロニクル紙やロサンゼルス・タイムズ紙等は、このところリー議員に対する市民の反応を特集しているそうです。

彼女を支持する意見としては「たった一人でも良心に基づいて勇気ある行動をしたことを誇らしく思う」「この行動こそ真に英雄的で愛国的だ」。それに対して反対意見は、「わが国の裏切り者だ。恥さらしだ」、また、「武力行使の代案を示していない」「今はまず団結すべき時だ」等々。

リー議員の地元事務所には、電話や電子メール等による数万にのぼる市民の声が届いており、その80%が彼女を支持する意見だそうです。

あの忌まわしい日から半月以上がたった今、次第に冷静さを取り戻す中で、当初とは異なった声が聞こえ始めてきていることはすばらしいことと思います。問答無用の武力報復ではない、平和を希求する流れが起こり始めています。この流れがもっと大きくなり、ついには大河となって世界を支配して欲しいと思います。この度の悲惨極まりない不幸な出来事が、なんとか転じて、文化を異にし、宗教を異にし、利害を異にする者同士が、相手を理解する努力を始め、歩み寄り、受け入れ合うようになることを切に願います。多大の忍耐と勇気と寛容がいる作業です。しかし、真の幸いは武力行使や報復からは決して生まれないのですから。

「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」

(新約聖書・マタイ5:9)