今週のメッセージ 2002.6.30

米国旗宣誓違憲判決問題に思う

アメリカで、学校で行われている星条旗への誓いの言葉に「神の下」とあるのは、政教分離原則に反するという違憲判決がサンフランシスコの連邦控訴裁判所で出たことが、国内で激しい議論を巻き起こしているとのことです。

アメリカの建国にキリスト教信仰が深く関わっていたことを考えると、この違憲判決に激しい反発が起こっていることも理解できます。さりとて、学校教育の場でなされる国旗への宣誓の言葉にそうした文言が含まれていることは、キリスト教信仰に立っていない立場からすると問題を感ずることも否めないでしょう。

結論はアメリカ国民の論議に委ねるとして、懸念されることは、こうした問題がとかく宗教の否定やタブー視、また無関心に拍車をかけてしまうことです。

信教の自由はきちんと保障されなければなりません。宗教の違いからとかく問題が起こりやすいから、全宗教を一つに統一してはなどと考えるのはナンセンスです。それは信教の自由の侵害に他なりませんし、そのようにして生まれた宗教など人間が造ったものであって、人間とこの世界を造った神ではありません。宗教は、触らぬ神に崇り無しなどと敬遠されるべきものではないし、タブー視されるべきものでもありません。また、前近代的などと切り捨ててしまうべきものでもありません。宗教を持つことは人の人たる所以、すべての人の本分なのです。

「主を畏れることは知恵の初め。」(旧約聖書・箴言1:7)

 「すべてに耳を傾けて得た結論。『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて。」(旧約聖書・コヘレトの言葉12:13)