今週のメッセージ 2002.9.15

四苦八苦

日常的によく使われている言葉の中に、意外に深い意味のあるものがあります。その一つに標題の「四苦八苦」が挙げられます。

この「四苦八苦」が日常、一般的に用いられる時の意味合いは、“非常な苦しみ”“さんざん苦労すること”(広辞苑参照)です。しかし、この言葉には元になっているもっと深い意味があります。それは仏教の教えに関係しているようです。

まず「四苦」とは“生老病死”(しょうろうびょうし)です。人間のこの世にあって逃れ難い四つの苦しみ、即ち、生まれること、老いること、病むこと、死ぬこと、の四つを指しています。

次に「八苦」とは、上述の「四苦」に、更に「愛別離苦」(あいべつりく)――愛する人との別離の苦しみ、「怨憎会苦」(おんぞうえく)­――憎む人に会う苦しみ、「求不得苦」(ぐふとくく)――求めているものを得られない苦しみ、「五陰盛苦」(ごおんじょうく)――物質的、精神的に執着することから生じる苦しみ、の四つを併せたものがその意味するところです。こうして見ると、人生は実に苦しみに満ちていると言わざるを得ません。

旧約聖書の『コヘレトの言葉』の中に次のようなものがあります。

「千年の長寿を二度繰り返したとしても、幸福でなかったなら、何になろう。」(66節)

本日は「敬老の日」。人は一人の例外もなく、老いて、やがて死を迎えなければなりません。しかもその行程は苦しみに満ちています。しかしキリストの救いは、それらの人生苦を超克させるものです。是非、最寄りの教会へ行かれ、この救いを見出していただければ幸いです。