今週のメッセージ 2002.10.13

自己主張と他者傾聴

先週は、ノーベル賞のダブル受賞が明るい話題として日本全土を和ませました。物理学賞の東大名誉教授・小柴昌俊氏の方は以前から期待されていたようですが、化学賞の島津製作所・田中耕一氏の方は正に青天の霹靂的受賞で、その素朴で飾り気のない対応が好感を呼びました。

翌日の「朝日」に田中氏と月原冨武氏(阪大蛋白質研究所教授)の対談が掲載されていましたが、その中で、日本とヨーロッパを比較して、日本の研究者に欠けているものは、との司会者の問いに対して、田中氏は、日本の研究者はもっと自信を持ち、自分の勝っているところをはっきりと自己主張する訓練が必要、と言われていました。また月原氏も、欧米では、他の人にないものをどのように表現するかを幼い時から訓練しているが、日本の場合は、自分のできないところを気にしてしまうような教育、と指摘されていました。全く同感です。

しかし、そんな反省に立ってか、最近は自己主張に懸命になる向きもないではありません。しかし、それに終始していては、対立の溝は深まるばかりです。

もう一つ大事なことがあります。それは他者のことばに耳を傾けるということです。人間同士ですと、そこで妥協点を...となりますが、その次元ではなく、人間が真の救いを得ようとするならば、まず神のことばに聴くことです。夫婦の間で、親子の間で、...国と国との間で...。

キリストに対する信仰による救いを福音として提示する聖書は、その信仰について次のように語っています。

「実に、信仰は聞くことにより、しかも、キリストの言葉を聞くことによって始まるのです。」(新約聖書・ローマの信徒への手紙10:17)