今週のメッセージ 2002.12.1

「悪より救いいだしたまえ」

教会暦では、本日が新しい一年の始まりです。待降節第一主日と呼ばれています。キリスト教会はクリスマスの装いとなりました。

ところで、冒頭の表題は「主の祈り」と呼ばれる祈りの中の1節です。クリスチャンでない方でも、結構この祈りをご存知の方は多いようです。子どもの頃、教会の日曜学校に通っていて覚えたとか、ミッション系の学校だったので覚えさせられたとか...。

最近、表題に掲げた1節について考えさせられています。

「悪より救いいだしたまえ」というと、倫理道徳的意味合いで捉えられがちかと思います。しかし、この場合の「悪」はそのような意味ではありません。

「主の祈り」は聖書の中の二個所(『マタイによる福音書』と『ルカによる福音書』)に出てきます。マタイの方が、一般に知られている「主の祈り」に近いのですが、それによると「悪より救いいだしたまえ」は、「悪い者から救ってください」(新共同訳)となっています。すなわち、「悪」は「悪い者」の意味なのです。「悪い者」というと、すぐいわゆる悪人と理解される向きが多いと思いますが、いわゆる悪人ではないのです。それは、聖書では「悪魔」とか「サタン」とか呼ばれている神に敵対している霊的な存在を意味しています。何かオカルトじみていると思われるかもしれませんが、聖書は大真面目でこの存在を告げ、人間を創造主である神から引き離し、罪に誘惑して滅ぼそうと暗躍していることを教えています。

この存在は、人間が抗えるような敵ではないのです。そこで、主イエス・キリストは、わたしたちに、「悪より救いいだしたまえ」と神に祈り求めるようにと命じておられるのです。