今週のメッセージ2003.1.26

あらゆるものが一つに

一昨晩テレビで、話題のアニメ映画、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』を観た。某テレビ開局50周年を記念して、史上空前の大ヒット超大作をノーカットでテレビ初登場、の触れ込みに大いに期待し、テレビの前に2時間半座り込んだのだが、やはり民放、全体の半分とは言わないまでも5分の2位はコマーシャル。集中心をすっかり削がれ、これには参ってしまった。

『千と千尋の神隠し』を観ようと思ったのは、単に話題の作品というだけでなく、『朝日』の1月元旦の社説で引き合いに出されていたこともあった。現代世界の「文明の対立」問題克服への示唆として、力や憎悪だけで押え込もうとするのではなく、「千と千尋」のように果敢に、しかし優しく向き合うことが大切であること、そして更に、哲学者梅原猛氏の主張も引き合いに出して、日本古来の「八百万の神々」の精神が今こそ必要だと述べていた。そんなこともあって是非観ようと思った次第であった。

しかし、宗教の観点から言うなら、一神教から多神教へシフトすることにより問題が解決するとは思えない。そもそも宗教というものは絶対者に対する信仰。問題は、異文化・異宗教にどう対するかだと思う。自分と異なるものを力ずくで封じようとしてもそれは真の解決にはならない。だが、真の神こそ、やがて天にあるものも地にあるものも一つに帰せしめることを実現させると信じて努めるのが宗教であり信仰ではないか。

「こうして、時満ちるに及んで、救いの業が完成され、あらゆるものが、頭であるキリストのもとに一つにまとめられます。天にあるものも地にあるものもキリストのもとに一つにまとめられるのです。」

(新約聖書・エフェソ1:10)