今週のメッセージ 2004.1.11

天国と地獄の譬話

 

1/5付け「朝日」の『声』のコラムに載った14歳の中学生の投稿記事です。

彼(投稿者)は中国人と日本人のハーフ。先月、祖父のお墓参りに4年振りで北京へ。そこは、前回とは打って変わり、その発展振りは目を見張るばかり。まるでマンハッタンに来たよう。このままでは、日本はあっと言う間に中国に追い越されてしまう、と焦りのようなものを覚えた。夕食の時、父親の昔の恩師である方が、彼の心を見透かしたかのように言われた、「今、中国は高度成長期を迎え、とても豊かになった。焦りを感じる日本人もいるようだけど、そんな必要はない」「日本と中国は互いに助け合うべきだ。国が違っていても皆が幸せになれば、それでいいんだよ」。彼は、この時無性に恥ずかしくなった。そして、大切なものを学んだ気がした。

これを読みながらふと心に浮かんだのが天国と地獄の譬話。

ある人が地獄に行って見た。ちょうど食事時で、どういうわけか長い箸を持たされ、それぞれがそれを使って懸命に食物を自分の口に運ぼうとするのだが、箸が長過ぎてそれが出来ず、骨皮筋衛門と化していた。

次に天国へ行って見た。そこでも同じように長い箸で食事をしていた。しかし、食物を自分の口に運ぼうとせず、互いに向かい合って座り、互いに相手の口に運び入れながら、和気藹々の食事風景が展開されていた。

聖書に、「おのおの、自分のことばかりでなく、他人のことも考えなさい」(新約聖書・ピリピ2:4)とある。また、「わたしたち強い者は、強くない者たちの弱さをになうべきであって、自分だけを喜ばせることをしてはならない」(同・ローマ15:1)とも教えられている。

果たして自分は、天国と地獄のいずれの住民だろうか...。