今週のメッセージ 2004.1.25

悪を善に変えられる神

 

「あなたがたはわたしに悪をたくらみましたが、神はそれを善に変え、多くの民の命を救うために、今日のようにしてくださったのです。」

(旧約聖書・創世記50:20)

冒頭の言葉は、旧約聖書の最初にある創世記の終わりの部分、『ヨセフ物語』の中に出て来るものです。

『ヨセフ物語』の概略を簡単に述べると、主人公のヨセフは、兄達の妬みを買い、ある時エジプトに向かう隊商に売り飛ばされてしまいます。そこでヨセフは艱難辛苦の人生を歩むのですが、神の奇しきお取り計らいの中で、なんとエジプトの宰相の地位まで昇るのです。

そうこうしているうちに、エジプトやカナンを含む地域一帯を飢饉が襲います。食糧に窮したヨセフの兄達はエジプトに食糧買出しに来るのです。宰相の地位に着いていた弟ヨセフの御蔭で、国許の父親や兄弟たちは飢饉と言う危機を乗り越えることが出来たというわけです。

他方、兄達は、かつて弟ヨセフに対して為した悪のゆえに、その仕返しを恐れるのですが、そういう兄達にヨセフが語ったのが冒頭の言葉なのです。悪を善に変えられた神が証しされています。

それより前の45章には次のようなヨセフの言葉もあります。

「しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。」(同45:5)

奇しきお取り計らいの中で悪をも善に変える摂理の神を信じる時、心の中にゆとりが生まれ、正しい解決へと導かれるのです。それを人間が自分の力で解決しようとすると、報復合戦の泥沼に落ち込んでしまいます。