今週のメッセージ 2004.7.25

第八戒「盗んではならない」

先々週は第七戒を取り上げましたが、今週はそれに続く第八戒「盗んではならない」について考えてみましょう。

この第八戒は、第六戒「殺してはならない」、第七戒「姦淫してはならない」と共に十戒の中で最も簡潔な表現の一つです。言わずもがなの常識だからでしょうか、補足説明がありません。

わかり切ったことであるはずなのに、日常茶飯事の如く犯されています。先週も、某公共テレビ局のチーフ・プロデューサーの5千万円近い公金にまつわるスキャンダルが報道されていました。金銭の不正問題は目に余るものがあります。国のリーダー的存在である政治家や官僚を初めとして、果てはそうした不正を取り締まる立場にあるはずの警察までこの罪に塗れています。

第八戒が禁じている「盗み」を戒める言葉と共に次のような言葉が聖書中にあります。

「盗みを働いていた者は、今からは盗んではいけません。むしろ、労苦して自分の手で正当な収入を得、困っている人々に分け与えるようにしなさい。」(新約聖書・エフェソ4:28)

聖書は、「盗んではならない」という戒めを守るということは、ただ強盗、詐欺、窃盗等の罪を犯さなければ、第八戒が守られているというのではない。自分の手で労苦して得た正当な収入を、困窮している人々と分かち合え、というのです。他人のものを奪ってまで自らを豊にしようとした姿勢から、ただそれを止めるというのではなく、他者に与える、他者と分かち合うまでに高められることを以って「盗んではならない」の戒めを守れというわけです。