今週のメッセージ 2004.8.29

的を射た今を生きる

アテネのオリンピックも閉幕間近となってきました。わが日本選手団のメダル獲得数は20年前のロサンゼルスを上回って過去最高とか。

メダルを獲得した選手のインタビューをテレビで見ながら痛感したことが一つあります。それはインタビュアーが型にはまったように“次の目標は?”と問うていたことでした。来年の世界選手権とか、4年後の北京オリンピックに関する目標を引き出そうとする意図があるのでしょうが...。

長年の血の滲むような努力が報われてメダルの栄冠を獲得して間もない選手に、なぜその喜びに浸る間も与えず、次のことを問うのかと腹立たしくさえ感じました。

次ぎ、次ぎと先ばかり見て、今を喜ぶことに欠けてしまう、これはもしかすると生真面目な日本人の特徴かもしれません。常に「次ぎ」に生きていて、「今」を生きていないのです。

新約聖書の『ルカによる福音書』の10章の終りに、主イエスを来客として迎えた姉妹が、主イエスに対し、非常に対照的な応対をするお話しがあります。妹の方は、主イエスのそばに跪いて、じっと主の語られるお言葉に耳を傾けます。他方、姉の方は先へ先へと気配りしながら、接待の為に忙しく立ち働きます。しかし、そのうちに忙しさの余り心を取り乱し、主イエスに、妹にもわたしの手伝いをするように言ってくれと、いつの間にか自分が主人になり、主イエスを手伝わせる始末となります。

「そこで、あなたがたの歩きかたによく注意して、賢くない者のようにではなく、賢い者のように歩き、今の時を生かして用いなさい。」

(新約聖書・エペソ5:15、16a、協会訳)