今週のメッセージ 2004.9.5

失ったものを悔やまず、得たものを喜ぶ

アテネ五輪も閉幕しました。日本人選手の活躍はさまざまな感動を呼びました。

しかし、最終日、最終種目の男子マラソンで、沿道からの乱入男に妨害を受けながら、それにもめげず銅メダルを獲得したブラジルのデリマ選手に感動を覚えた方も多いと思います。

その感動も、にもかかわらず3位に入ったこと、あるいはデリマ選手のゴールに際し湧き起こった観衆のあたたかい拍手等、人によっていろいろかと思いますが、わたしは、デリマ選手の“失ったものを悔やまず、得たものを喜ぶ”態度に非常に感動しました。

36キロ付近までトップを走っていたわけですから、妨害がなければ金メダルが取れていたのかも知れません。あるいは、金でなくても銀を取れたかも知れません。しかし、競技場に入って来たデリマは、それを悔やむ態度や妨害者を非難する態度をおくびにも出さず、スタンドに向かって投げキスをし、飛行機のように両手を広げて蛇行しながら、銅メダル獲得ゴールの喜びを全身で表現しつつ、笑顔でゴールインしたのです。

その後のインタビューでも、メダルの色は問題ではなく、自分にとっても国にとっても、メダルを獲得できたことがうれしいと素直に喜びを語っていました。また、妨害で確かにペースが乱れ、回復するのに苦労したが、妨害者を責める気はないとも語っていました。

失ったものを悔やむ姿勢は全く見せませんでした。反対に、得たものに対する喜びを素直に表していました。近年、稀に見る真のスポーツマンのさわやかさがそこにありました。

「今持っているもので満足しなさい。」(新約聖書・ヘブライ13:5)