今週のメッセージ 2004.12.26

年末に際し終末を思う

 

「現在の苦しみは、将来わたしたちに現されるはずの栄光に比べると、取るに足りないとわたしは思います。」(新約聖書・ローマ8:18)

 

今週末にはこの年を送り、新しい年を迎えます。わたしは年末を迎えるたびに終末を思うのです。

冒頭のことばは、使徒パウロが新約聖書の中の『ローマの信徒への手紙』において記しているものです。「わたしは思います」などと聞くと、何かパウロが個人的な考えや信念を披瀝しているように聞こえるかも知れませんが、そうではありません。神の霊感を受けて、「人は、行いによるのではなく、主イエス・キリストを信じる信仰によって救われるのだ」と救済論を展開しているパウロが、その論理的流れの中で、この世の終末、また、救いの完成、について記しているのです。

終末というと、やがて太陽も燃え尽き、生物が生存不可能になる時とか、人類が開発した核兵器によって自らを破滅に至らせるとかを連想しがちです。しかし聖書は、この世における現在の被造世界を含めたわたしたちの苦しみと対比させながら、現在の苦しみをはるかに凌駕する栄光の時として描いています。その中で、現在の苦しみを「産みの苦しみ」とし(同22節)、来るべき栄光の時は、わたしたちの「体の贖われる」時としています(23節)。

このすばらしい約束の礎として、つい先週そのご降誕をお祝いした救い主イエス・キリストが深く関わっています。人間の罪の故に汚染、破壊、滅亡、死に向かってしまったこの世界が、このキリストにより刷新・更新される時が到来すると約束されているのです。