今週のメッセージ 2005.3.13

懺悔

 

最近(3/1)、「ハンセン病問題に関する検証会議」(座長・金平照子元東京都副知事)が、最終報告書を尾辻厚生労働大臣に提出したことが報道されました。886ページにも及ぶボリュームのその報告書は、ハンセン病患者の隔離政策の法的根拠となった「らい予防法」の廃止が1996年までなされず、その為に隔離政策が90年間も続いてしまった原因等を究明したものだということです。

報道によると報告書は、廃止が遅れた最も基本的な原因として予算獲得を優先させた厚生行政を指摘しているとのことです。

さらに医療界について、ハンセン病が不治の伝染病であるとの誤った情報を国民に浸透させ、その後の医学の進歩に中で伝染力の弱さや根治薬が開発されて状況が変化して来たにもかかわらず、誤った情報の積極的な是正や政府に対する隔離政策の転換を迫らなかったことが指摘されているとのことです。

また、マスコミについても、多くの記者がハンセン病問題に不勉強で、隔離施設内に足を踏み入れなかった為、患者の訴えや人権侵害の実態が社会に対して報道されず、患者救済に無力だったと指摘がなされているとのことです。

ところでわたし自身、神学生の頃、国立多摩全生園という施設にハンセン病患者さんの慰問に出かけていたことがありました。福音を伝えることにより生の中に希望を持っていただくことに意を注ぎましたが、ハンセン病に対する医療効果の著しい進歩や、人権侵害を著しく侵害していた隔離の実態等には全く無知でした。不明を恥じると共に、隔離政策の廃止に協力出来なかったことをここに懺悔する次第です。