今週のメッセージ 2005.8.14

神の御業のくすしさ

 

キリスト教が、ユダヤ民族ならびにユダヤの地の枠組みを超えて、全世界における普遍的宗教となっていった次第を、新約聖書の中の使徒言行録という書が明らかにしてくれています。それによると、ヘレニストと呼ばれる外国に生まれ育った“ギリシャ語を話すユダヤ人”の働きが大きく貢献していたことがわかります。

ヘレニストの一人、ステファノという人は、キリスト教がエルサレムの神殿という特定の場所を超えたものであることをいち早く理解し、その真理を語った器でした。その為に、当時その真理を理解する域まで達していなかった人たちにより、神を冒涜する輩として石打により処刑されてしまいました。しかしその殉教の姿は、後に回心して迫害者から一転してキリスト教伝道者となるサウロに大きな影響を与えたのでした。

ステファノの出来事が発端となってエルサレムに激しいキリスト教迫害が起ります。クリスチャンたちはその難を逃れて地方に散って行くのですが、その中の一人フィリポはサマリアに行き、異邦人との混血である故にユダヤ人からは蔑まれていたサマリア人に福音を伝えるのです。そしてサマリア人クリスチャンが誕生していきます。彼はまた、エルサレムに礼拝にやって来て帰国の途上にあったエチオピアの高官にも福音を伝えます。それにより初めての異邦人クリスチャンが誕生していくのです。このフィリポもヘレニストでした。

純粋なユダヤ人からは、一段低く見られていたヘレニストたちですが、純粋なユダヤ人たちより律法や神殿また異邦人に対して拘りが少なかったことが、かえって福音の真理の啓示の進展に速やかに対応出来て、キリスト教の普遍的広がりに大きく貢献出来たといえるでしょう。