今週のメッセージ 2006.1.15

神と富

 

最近読んでいた本の中で、大変うれしい言葉に遭遇しました。それは藤原正彦著『国家の品格』(新潮社)という本で、その終わりの方に記されていた次のような言葉です。

「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ。」

大正末期から昭和の初めにかけて駐日フランス大使を務めた詩人ポール・クローデルという人が、昭和18年にパリで語った言葉だそうです。最高の賛辞ではないでしょうか。

その時から60余年、現在、日本人にそのような賛辞を贈ってくれる外国人が果たしているでしょうか。

当時から見れば、現在の日本人は、食べるもの、身につける衣服、建物、電化製品、IT機器等々、どれ一つ見ても比較にならないほど豊かな国になりました。なんだかんだ言っても世界において経済大国第2位の位置を占め、世界最大の債権国とか。しかしその品格となると、地に落ちた感じです。日々新聞、テレビ等で報道される不正、虚偽に満ちた事件、殺人や性がらみの犯罪等々、枚挙に暇がありません。

その根因は何か。著者藤原はズバリ“金銭至上主義だ”と言い切ります。

ところで、主イエスは、その“山上の垂訓”の中で言われています。「あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない」(新約聖書・マタイ6:24b)。そして言われるのです、「まず神の国と神の義とを求めなさい」(同33節)と。ここに、人間が真にその品格を備えることのできる道があります。日本人としてもう一度、外国人をしてそのように言わしめる品格を取り戻せたらと思います。