今週のメッセージ 2006.4.16 

死を超えた生

 

「僕はね、このガンに決して負けやしないぞ。僕の精神と魂は、絶対にガンにおかされはしない。ガンは僕の精神と魂を奪うことはできない。神がともに勝利してくださるから、見ていてくれ。その時がきたら、カンオケに歩いてはいるからね」。

山本書店店主であった故山本七平氏は、1990年に膵臓ガンを宣告され、約1年3ヶ月の闘病の末、天に召されていかれました。上記の言葉は、自宅で氏の介護に当たられた奥様に語られたものです。

氏の闘病生活は、死後、れい子氏(奥様)と良樹氏(ご子息)によって書かれた『山本七平 ガンとかく闘えり』に詳述されています。それは、激痛との壮絶な闘いでした。しかし良樹氏は、「父の闘病の姿勢、それは『闘志』以外のなにものでもなかった」と述懐されています。

最も心打たれるのは、主治医のSドクターから、厚生省(現厚生労働書)関係の、在宅看護を受けている末期ガン患者の調査アンケートの、「幸せを感じますか」の設問に対して、五つの選択肢の中から、即座に「とても幸せ」を選ばれたことです。そばで奥様が、飾らない正直な気持ちでいいのよ、と助言されると、「人間、いつかは死ななければならない。...こうして愛する家族に囲まれて看てもらえるなんて、これ以上になにを望むのか。僕は今、もっとも、本当に最高に幸せだよ」といわれたのです。奥様は、「この言葉は、どんな高価なプレゼントにもまさる貴重な贈り物でした」と記されています。氏は、復活のキリストに対する信仰により、復活の希望を与えられ、まさに「死を超えた生」を全うされたのです。

「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。」(新約聖書・ヨハネによる福音書11:25)