今週のメッセージ 2006.7.9

好点より要点に石を下ろしたダビデ

 

「好点より要点に打て」とは囲碁の原則の一つで、局面において、一見好ましく見える場所ではなく、肝要なところに石を下ろせということだそうです。本年の1/1のメッセージの主題に用いたと記憶しています。先週、まさにその好例と思える記事を聖書の中に見い出しましたので、そのことについて記して見ます。

それは旧約聖書の『サムエル記上』に登場するダビデについてです。彼は王サウルの妬みを買い、いのちを狙われるようになった為に逃亡生活を余儀なくされます。

ある時、とある洞窟に身を隠していると、追跡してきたサウル王が、ダビデとその供の者達が身を潜めているとは知らず、用を足すためにその洞窟に入って来たのです。

用の最中はどうしても無防備になります。供の者達は好機到来とばかりにダビデにサウルを討つことを進言します。しかしダビデは、神が油注いだ方を手にかけてはならない(24:11)と部下を抑え、自分はこっそりサウルの上着のすそを切り取るのです。

そのあと彼は、切り取った王の上着のすそを示しながら、いのちを取ろうと思えば取れたにもかかわらず、敢えてそうしなかったこと、即ち、悪意を以って自分に対して来る王に対し、自分は善意を以って対して来たことを切々と訴えるのです。すると王は、涙を流しながら、ダビデの正しさを認め、「お前は必ず王となり、イスラエルの王国はお前の手によって確立される」(24:21)と語ったのです。

かくして好点でなく要点に石を打ったダビデは、やがて神により王座から斥けられたサウルに代わり、王座に着くことになるのです。