今週のメッセージ 2006.8.20

幸いへの道は罪の赦しから

 

早いもので、作家三浦綾子氏が召されてから7年になります。

氏の作家としてのデビューは、朝日新聞の1千万円懸賞小説に応募、見事に入選、1964年12月から朝日新聞がその作品『氷点』を連載したことに拠っています。翌年、同社は単行本として同作品を出版、71万部を売り上げる大ベストセラーとなったと伝えられています。

また同社は、1971年に同氏の作品『続・氷点』も連載しています。

『氷点』は人間の原罪を追及した作品として知られます。主人公陽子が、「お前は罪人の子だ」と知らされ、私はもう生きる力がなくなりました、凍えてしまったのです、と遺書に記した言葉の中にタイトルの『氷点』が凝縮されていると言えるでしょう。

またさらに、陽子が、「今、『ゆるし』がほしいのです。おとうさまに、おかあさまに、世界のすべての人々に。私の血の中を流れる罪を、ハッキリと『ゆるす』と言ってくれる権威あるものがほしいのです」と言っていますが、人間の罪に対し、権威をもって「ゆるす」と宣言してくれるものは何かを追及したのが『続・氷点』なのです。

この中でも、作者は燃える流氷を見つめる陽子の口を通して語らせます。

「あざやかな焔の色を見つめながら、陽子は、いまこそ人間の罪を真にゆるし得る神のあることを思った。神の子の聖なる生命でしか、罪はあがない得ないものであると、順子からきいていたことが、いま素直に信じられた。この非常な自分をゆるし、だまって受けいれてくれる方がいる」。

真の幸いへの道は、罪ゆるされることから開かれて行くのです。

「いかに幸いなことでしょう、背きを赦され、罪を覆っていただいた者は。」(旧約聖書・詩編32:1,2)